コラム

2023.05.01

コラム=徒然なるデッサン


はじめに

 

 今まで様々な図書館を訪れた。それらの中でも特に印象的だったのは、ここに写真を挙げたスウェーデンのマルメ市立図書館である。設計はデンマークの有名な建築家ヘニング・ラーセンだという。

 大学に付属したものではなく、あくまでも市立図書館であるが、その雰囲気が実に素晴らしいのだ。本を愛する市民の誰もが自由に立ち寄って、しばらくの間日常生活の煩いを忘れ、自らが選んだ本の世界に入りこむ――広々とした吹き抜け空間には大きな窓から光が差し込み、美しい自然を眺めることも出来る。日本の各地にも今ではこれに負けないような図書館が次々とできていると聞くが、この思い切り広い吹き抜け空間の解放感・自由感はそう多くないのではないか。


 このコラムには、折に触れて考えたこと、その日に向き合った自然や音楽や絵画についての感想、人生で出会った様々な人たちのこと、家族と過ごした外国での体験、幼い頃や青春時代の思い出などを、月に一度か二度、短くデッサン的に記してゆきたい。今回は敢えて「徒然なるデッサン」と題したが、ドストエフスキイや聖書に関するヘビーな考察から離れ、一息ついたところで、自分の内を去来する小さな思いを書き留める欄にしたいと思ってのことである。これがマルメ市立図書館と同じように、ここを訪れて読んでくださる方たちに、何らかの解放感・自由感を感じていただけるような場所にしたいと願っている。



写真:

スウェ―デン  マルメ市立図書館(Malmö stadsbibliotek) 

広々とした吹き抜け空間に大きな窓から光が差し込み、外には美しい自然が広がっている。

ここで撮った公園や落ち葉の写真もその内に掲載したい。



最新コラム

アーカイブ