著作/論文
2016.04.01
カラマーゾフの兄弟論 砕かれし魂の記録
著者 芦川進一
発行 河合文化教育研究所
発売 (株)河合出版
2016年4月刊行
目次
はじめに
前編
Ⅰ リーザの嵐
Ⅱ リーザとアリョーシャとの対話(1)
Ⅲ モスクワと家畜追込町
Ⅳ 「神と不死」の問題と福音書
Ⅴ イワン
Ⅵ ナドルィフ「(激情の奔出)
後編
Ⅶ 二つの死 —二つの死がもたらすもの―
A.アリョーシャ
B.イワン
C.スメルジャコフ
D.ドミートリイ
Ⅷ (終章)リーザとアリョーシャとの対話(2)
1. リーザの嵐の開示
2. アリョーシャの「誠意」
3. 更なる道程
補遺 『シリアの聖イサクの苦行説教集』より
参考文献・註
おわりに
編集部による内容紹介
「死と再生」の究極のドラマに光をあてる
生涯をかけて新約聖書のイエスと向き合い続けてきたドストエフスキイという作家の思想の独自性に着目した著者が、彼の作品がもつ「聖と俗」の二重構造を鮮やかに開きながら、満を持して著わした画期的な『カラマーゾフの兄弟』論。ゾシマ長老と兄弟の父フョードルの二つの死を軸に展開される人間の愛と葛藤、罪と裁き、そして没落と甦りを、新約聖書の「一粒の麦」と「ゲラサの豚群」の二つに焦点を絞りつつ考察し、自らの内面に思考の錘鉛を下ろしながら、作品の底を流れる「死と再生」の物語を浮き彫りにしていった希有な作品論。